ありのままの田舎暮らし

2009.02.01

第15話 田舎は美味しい、本当ですの巻

里山の味 天然工房

 人生の最大の楽しみの一つは食べることといったら大げさでしょうか。しかし、人間誰でも美味しいものを食べている時は満たされて幸福感に包まれます。
 言うまでもなく田舎は都会にはない様々な美味しい食べ物の宝庫、季節ごとに次から次へと旬の幸が現れて、そのホンモノの味わいを満喫させてくれます。しかも、タダ、あるいは格安で。
 今回は田舎暮らしを彩る山ならではの食材、料理をご紹介したいと思います。

 今回のテーマは山の幸ベスト10。

第10位 わらび

 アクが強いのでスーパーで売られている「ソーダ」を買ってきてアク抜きします。米ぬかや重曹も試してみましたがあまりうまくいきませんでした。アクを抜いたわらびは油揚げなどといっしょに炒め少しゴマ油を落として香り付けをします。


 はじめの頃は美味しい食材にあげるほどでもないと思っていたのですが、食べ続けていると不思議にだんだんと評価が上がってきて欠かせないものとなりました。わらびは田んぼの雑草、いくらでも採れます。

第9位 山桑

 黒く熟した実はほんのりと甘い上品な味。これをジャムにするのは田舎暮らしの定番でしょう。我が家でも朝のパンのジャムは自家製桑ジャムです。
 桑には2種類あって1センチ強の小さい実をつけるものと2〜3センチの大きいものと。この大きい実の方の木が1本あれば大量の実を取ることができます。

第8位 アケビ

 熟すと紫色の実がパカッと割れて、鳥達に「さあ種を食べてください」といっているよう。黒い種を包んだ白くふわふわでしっとりとした果肉は上品な和菓子そのものです。人間の力ではこの極上の甘さはどうしても再現できないのだとか。
 紫色の厚い外皮は天ぷらにして美味だそうですが、これはヤギの大好物で我が家では人間にまでまわってきません。


 アケビは近年少なくなってきたとのことですが、家の周りの山にかなり繁茂していて秋になると鈴なりに実をつけます。それらの実が順次熟しますので、かなり長い期間楽しませてもらえます。

第7位 タケノコ

 たけのこを美味しく食べるコツはとにかく鮮度にこだわること。採った瞬間から味が落ちるといわれています。
 米ぬかを少し入れたお湯を沸かしておいて裏山に出てくる真竹のタケノコを掘った直後に鍋に放り込みます。茹で上がったアツアツのタケノコの味の濃いこと、香りの強いこと、一旦食べ出したらとまりません。タケノコがこれほど美味しいものだとはこちらに来るまで知りませんでした。

第6位 タラ

 山菜の王様とその名を馳せているタラ、天ぷらが美味であることはあまりに有名です。都会でも超高級料亭では欠かせない食材なのでしょう。
 タラの木は雑木林の際に散見されて、私達の家の周囲でも探せば簡単に見つけることができます。


 タラの木は幹と見えるものが実は枝で、枝と葉に見える部分が大きな一枚の葉っぱ、枝に見えるものは葉脈です。木々は秋になると葉を落としますが、タラは枝に見える部分も落としてしまいますので、冬は1本の細い棒が地面から突き出ているようにしか見えず、なんとも寂しい姿を晒しています。
 春になると枯れていたような1本の棒の先に突然真緑の芽が出てきて「生きていたんだ」と思うわけです。

 冬のわびしい姿を知っているとやっと出てきた芽を摘んでしまうのはあまりにしのびなく、我が家ではタラの芽を採ることができません。
 地元の方々は家の周りにタラを植えていて春にはタラの芽の天ぷらを思う存分味わっています。私達は祖裾分け(といってもかなりの量ですが)を頂き、春の恵を楽しみます。

第5位 山椒

 移住する前に、先に田舎暮らしを始めた先輩から「庭に山椒の木を1本植えておけ」とアドバイスをもらっていました。その先輩が作った山椒の実の佃煮のうまかったこと。


 辛いといってもカラシやシシトウとは違って舌がしびれるような独特の刺激は炊き立てのご飯との相性が抜群。酒の肴にも最高です。また若葉の天ぷらもすばらしく美味です。

 こちらに来て最初にやったことは、山の中を歩いて山椒の木を探すことでした。そして見つけた時の喜び、感激は言葉にできません。
 秋になって早速実の佃煮を作ったのですが、これがどうも旨くなく先輩の家で食べさせてもらった佃煮とは比べようもなくがっかり。どうしてだろうと悩んでいたのですが、後にその理由がわかりました。

 山で見かける山椒には本山椒、イヌ山椒、カラス山椒の3種があったのです。イヌ山椒の「イヌ」は否定の「否」からきていて、すなわち「山椒にあらず」という名前。私が見つけた山椒はイヌ山椒だったのです。
 本山椒は左右2枚の葉が同じ場所から出ています。イヌ山椒は左右の葉が交互に1枚ずつ付いているのですぐに違いを見分けることが出来ます。

残念なのは私の住んでいる阿武隈高原には本山椒が少ないことです。同じ福島でも西白河郡の奥羽山地では本山椒を良く見かけます。


第4位 こしあぶら

 タラの芽に比べ知名度は低いものの、旨さではこちらが上でしょう。友人、知人、家族に食べてもらってもタラの芽より美味しいという評価が一般的です。
 白っぽく細い背の高い木で大きくなってしまうと採りにくく、もっぱら幼木の芽をとっています。
 タラの木と同様、雑木林の中に簡単に見つけることができる上、新芽が次から次へと出てくるので多量に採れるのも嬉しい点です。天ぷらで味わい、天丼で堪能し、さらに炒めもので満喫します。

第3位 ふきのとう

 てんぷらも美味しいのですが、なんといっても蕗味噌、もうこれしかありません。
 細かく刻んで日本酒、みりんを加えて炒め、味噌とごま油で味をととのえます。炊き立ての温かいご飯の上にのせて一口ほおばれば春のいぶきが口内に広がり、しばし陶然、言葉もありません。思わず感涙です。


第2位 乳茸

秋のキノコの代表格、良質のダシが出るので鍋、汁物、そば・うどんに使います。雑木林に発生するシイタケ大のきのこで採ると白い液が出て、これがミルクの様であることから乳茸と名がついたそうです。

 自分の山を持たない私達は沢山採ることはできないのですが、地元の方からけっこういただけます。冷凍保存が利きますので、春先くらいまで舞茸と合わせて、キノコ鍋、キノコそば、あるいは味噌汁で堪能できます。
 都市ではめっぽう高い値段で取引されているそうですが、私達はスーパーで売られているきのこ同様、バクバクと食べています。

第1位 ウド

 山の幸、栄えある第1位は「ウド」です。
 なんといっても山菜の王様であり一人王道を行くといった趣がある一方で、いくらでも採れて庶民的、誰もが広範に利用していて、これに勝る山菜はありません。


 山菜にウドがなかったら山菜の人気はこう高くはなかったでしょう!というのは言いすぎですが、このウド、独特の旨みがあってアクは強すぎず、かといって弱すぎず、絶妙の味を出してくれています。
 しかも、葉っぱから茎まで使えて利用範囲が広く、何に使ってもおいしく文句のつけようがありません。若葉の天ぷらは春の味覚の代表格ですし、根に近い茎(白い部分)を皮をむいてスライスしてそのまま酢味噌を載せればこの上ない酒の肴が出来上ります。

 地元の方々の一般的な食べ方は、茎の柔らかいところの油炒めで、これは少し多めの油を使うことがコツ。ウドの旨みが活きてきますので、醤油とゴマ油だけでデパ地下超一流シェフの料理なんのそのの一品が出来上がってしまいます。本当に素晴らしい。

 なお、ウドの芽が出始めたら土をかけておきます。土のかかった部分は成長しても白いままですので、そのまま食べることができるのです。


 以上、独断と偏見で山の幸ベスト10を発表しました。
 おそらく移住した人であれば皆さん必ずやると思うのが、地元の美味しい食材の発掘です。私達も地元の方に教えてもらったり、本を読んだりして次から次へと試してみました。
 でもまだ私達が知らない食材がごまんとあるでしょう。
 これからも新しい美味しい食材を発掘してレパートリーを広げ、山の恵を堪能していきたいと思っています。

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