ありのままの田舎暮らし
第6話 トラブルはセットメニュー
トラブルよ、どんとこい!
前回、トラブルの話をいろいろと書きましたが、移住に伴うさまざまなトラブル、すれ違いや、思い違いのたぐいは、枚挙にいとまがないと思います。
こんなはずじゃなかった、そんなつもりじゃなかった、それは田舎への移住に限らず、新天地へと移り住めば必ず付いて回ります。土地土地には異なる風習があって、すんなりと入っていけるわけではありません。
僕の住んでいる地区には、住民総出の清掃ボランティアがあって、ときおり、草刈りやゴミ拾いに駆り出されます。これに出ないと罰金、みたいなペナルティまであったりして、たいへん困りました。なるべく参加するようにしているのですが、仕事と重なるとムリです。
たとえば、都会から若い夫婦が移住したら、このような地域ルールにはとまどうこともあるでしょう。かといって、不参加の人が増えれば、これまで活動に参加していた人からは不満が出て、ひょっとしたら地域のつながりも壊れてしまいかねません。
また最近までは、お葬式は地域ぐるみで行っていたようです。
誰かが亡くなれば、周囲の全世帯がお香典を包み、お焼香に行く。これもまた田舎のごくありふれた風習ですが、昨今は自宅ではなく斎場でとり行うことが増え、地域の全世帯が参加することも減っているのだそうです。
考えてみれば、長い年月を隣近所としておつきあいを続けてきたからこその「地域」というもので、当然のことながら、若い人が都会へ出ていたり、都会から移住者が入ってきたりと人が移動すれば、こうした「地域」のつながりは分断され希薄になっていきます。別の言い方をすれば、関係性の構築にはそれなりの時間が必要です。
しかし、移住をめぐるこれらのささやかなすれ違いは、双方にとって新しい地域を創出するチャンスでもあります。
移住者は新しいものを持ち込み、古くからの習慣と摩擦しながら新しい関係性を築く基になっていくのだと思います。
失敗を反転させる
以下は移住の話からは少し離れますが、現在西郷ゆば工房には併設の直売所があります。
もともと、ホテルや料亭などへの業販が主業務だったので、店舗の出店は考えていなかったのですが、前回のお話しのように、新白河駅前への出店話から、豆乳ソフトクリームを出そう、揚げ物を作って売ろう、冷蔵のショーケースを置こうなどと、必要だったとはいえたくさんの機材をリースしたのです。
そのリース物件が、閉店とともにすべて遊んでしまい、しばらくは工房の裏手でシートを被ることなってしまいました。
遊んでいても、リースの請求はやってきます。
「どーしよーかなぁ、これ」と悩んでいた矢先、直売所を作って地元の人に販売しようと思いつきました。すると、次第にお客さんも増え、豆乳ソフトや豆腐揚げなど、評判も上々でリース代をなんとか吸収できるようになったのです。
<写真1>
駅前店閉店で遊んでしまったソフトクリームマシン。イタリア・CARPIGIANI社製で福島県内には3台しかない(リース当時の話)らしいです。このリース代がバカにならない。直売所設置のきっかけとなった。
いわば、怪我の功名です。駅前の出店失敗がなかったら、直売所も作らなかったでしょう。
直売所でみなさんが西郷ゆば工房製品に親しんでいただいたたことから、村や市のイベントから出店要請をいただいたり、隣村の下郷の道の駅に商品を置かせていただく話が舞い込んだりと、それまでの業販の会社から「地元のゆば工房」へと周囲の認識も変化していったのです。
これは、ある意味、僕たちが地元に溶け込んでいった大きな一歩といえるかもしれません。
トラブルはどうしてもやってきます。しかしそれ反転させようとしたことで、結果的に西郷ゆば工房は地元の企業へと変わっていくきっかけになったのです。
つづく
<写真2>
ホームセンターの現物限りの出物の組み立て式ログハウスを買ってきて直売所に。店内の冷蔵ショーケースも駅前店のリース物件。
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