ありのままの田舎暮らし

2010.02.07

第8話 付加価値をどうつけるか

あぶくまローズ
道の駅ひらた」 高野 哲也


 競争相手に打ち勝つために、どのように付加価値をつけるか。
 どの業種、業態でも、これはどうしても見つけなければならない、そしてなかなか見つからない頭を痛めるテーマだろう。われわれもそうであった。
 「朝採り」という条件は誰もが思いつきやすく、取り組みやすいため簡単に真似される懸念があり、早急にプラスαを考えなければいけない。

 いわき地区の農産物消費量が、我々の参入によって増加しているわけでもないので、我々の参入によって押し出された農家、産地があったはずである。初期の成功にあぐらをかいていれば次に押し出されるのは我々であることは明らかなのだが、残念ながら会員農家にその意識はほとんどなかった。
 「こんなにうまくいってんだからしばらくはこのままでいいんでねえかい」はいいほうで、「あいつは量販店のいいなりで、オレらをこき使っている」などとも言われる。



 したがってしばしば議論になるが、気がねなく、言いたいことを言える環境を作ることも大事だろう。これはどちらかというとヨソ者である自分のための配慮だったかもしれない。
 もっとも、後でよく考えてみると、心の中に壁を作っているのは実は自分のほうだったりするので、たまには謙虚に反省することだ。

P1010346.jpg いろいろな議論、口喧嘩、飲み会の結果、従来の販促活動に加えて、まずは全員がエコファーマー認定を受けること、特別な栽培法(それが何かは今後検討することとして)を採用し、一定の基準を満たした商品にはシールを貼ること、商品のブランド化を進めることの3点を今後の戦略とすることにする。
 平成14年から17年の4カ年をかけてこの方針で運営した結果、全員のエコファーマー認定(これは意外と簡単だから、やる気になればだれでも取れる (注1))、ムクダイ農法(注2)の採用、数種類の野菜のブランド化(注3)を達成する。(ブランド野菜の開発は現在も続行中)



 同時に進めたのが、作型を多様化すること。畜産・煙草栽培が中心の平田村は、野菜後進地域である。したがって施設園芸は極端に遅れており、露地野菜中心だから、特定の作物が特定の時期に集中してしまう。

 また、出荷時期も6月からせいぜい12月中旬までで、年によっては11月下旬で終了ということもあった。この問題の解決には施設化しか方法はないように思われたが、平均年齢が65歳オーバーの人たちに、新たに借金を勧めるのも心が痛む。
 補助金頼みは不本意であるが、役場、県などへ有利な補助事業の照会をしたところ、3カ年間継続事業で我々にぴったりの事業(中山間園芸産地グレードアップ事業)が見つかり、平成14年から16年の3カ年で約7000㎡のパイプハウスを建設した。(補助金額合計約1500万円)

 こうして生産環境は徐々に整い、22名で始まった本会は、平成17年には43名にまで増加し、出荷店舗はいわき、郡山、須賀川、小野、石川まで広がり、最大で12店舗まで増えた。

 外からは順風満帆にも見えたらしいが、実は当初から予想された大きな問題が起きつつあった。
 



(注1):難しいのは、栽培歴をジッチ、バッパにきちんと記入させること。「バーコードってなんだい?バアさんにコードつけんのかい?」と真顔で聞いてくる人たちには、とにかく根気よく、何度となく講習会を開き、記入例を示し、畑まで足を運んで説明しないと、人に見せられる栽培歴は書けるようにならない。栽培歴は公開を前提としているので、記入法を教えこむことは極めて重要。

(注2):ムクダイ資材と総称される数種類の土壌改良資材と、堆肥・厩肥のみを圃場に投入することで、土の持っている本来の力を呼び覚まし、化学肥料、化学農薬に頼らない栽培をする農法。量販店が積極的に取り組み、この農法で栽培した野菜は全量を量販店が買い取るということと、畜産がさかんで、ありあまる堆肥の有効利用が課題だった本村にぴったりということで導入した。効果は即効的で、収量、食味、土壌すべてが大幅に改善されるが、コストがかかることが難点。

(注3):
キャベツ 「ひらた甘寒娘」         にんじん  「ひらた紅音」
じゃがいも 「ひらたはるか」        ズッキーニ 「ひらたまんまる娘」
カリフラワー「ひらたうずまき娘」       ミニ大根  「ひらた絹美人」

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